1976年に劇場公開された『タクシードライバー』の予告編動画は、こちら
1976年に公開された「タクシードライバー」は、ベトナム戦争帰りの元海兵隊員の体験を描いた作品の一つとして知られています。
また、「7月4日に生まれて」や「ランボー」「フォレスト・ガンプ」など、同じテーマを扱った映画があります。
この映画は、マーティン・スコセッシ監督による作品で、主人公トラヴィス(ロバート・デニーロ)がニューヨークの街で孤独と暴力に満ちた物語を繰り広げる様子が描かれています。
この作品は、当時の社会情勢やアメリカンドリームへの懐疑、そして孤独や暴力などの普遍的なテーマを扱っており、映画史に残る傑作として多くの人々から愛され続けています。

映画『タクシードライバー』の元ネタ
アーサーは、アラバマ州知事の暗殺未遂や15歳の少女との初めてのデートでポルノ映画を見たりと作中でも描かれており、アーサー・ブレマーの暗殺日記「An Assassins Diary」が元ネタになっている事がわかります。
映画『タクシードライバー』のあらすじ

ある日、ニューヨークのタクシー運転手トラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)が、12歳の少女アイリス(ジョディ・フォスター)と出会い、その後、アイリスを救うために行動を起こすようになります。
同時に、トラヴィスは社会の腐敗に憤慨し、自分自身が弱者を救うための正義の執行者になることを決意します。
しかし、トラヴィスの行動は暴力や狂気的な行為につながり、彼自身の心の闇に引きずり込まれていくことになります。
彼は、銃を手に取り、人々を狙い始めます。
そして、アイリスを救うために決行する最終的な行動に向かっていくのです。
映画『タクシードライバー』の考察
主人公のトラヴィスは、タクシードライバーとして働くのですが、ニューヨークがもつ社会問題に彼の心理状態が悪化していきます。
孤独と不条理な現実
主人公トラヴィスは、孤独や人間関係の難しさに悩みながら、タクシー運転手として生きていく姿が描かれています。
彼は、繁華街や危険なスラム街を走り回るうちに、社会の不条理や人間の欲望に直面し、それに憤慨します。
社会の腐敗
トラヴィスは、ニューヨークの街で犯罪や腐敗が横行する現実に直面し、自分自身が正義の執行者になることを決意します。
個人の心理状態
トラヴィスの心理状態は、彼の孤独や不条理な現実、そして社会の腐敗によって影響を受けています。
彼は、その心理状態が徐々に悪化し、狂気的な行動につながっていきます。
個人の心理状態の深層に迫り、その暗部を探ることで、人間の本質や人間性について考察することを意図しています。
映画『タクシードライバー』のキャスト
以下の4人が物語の中心人物になります。
トラヴィス (演: ロバート・デ・ニーロ)
主人公であり、元ベトナム戦争の退役兵でタクシー運転手。
孤独で人付き合いが苦手で、社会の不条理に憤慨し、自己嫌悪や独り言を言うなど、不安定な心理状態に陥っている。
ある日、彼は、自分の生きる意味を見つけようと、出会った女性の救世主として、狂気的な計画を立てるようになる。
ベッツィー (演: キャシー・モリアーティ)
トラヴィスが出会った選挙運動員で、彼女に恋心を抱いている。
しかし、彼女が結婚していることを知り、ショックを受ける。
アイリス (演: ジョディ・フォスター)
未成年の売春婦で、トラヴィスと出会う。
彼女を救うことを決意し、自らの手で売春を斡旋する人々を一掃するため、トラヴィスは計画を立てる。
ウィザード (演: ハーヴェイ・カイテル)
トラヴィスの友人であり、同じタクシー運転手。
彼は、トラヴィスに心を開いている唯一の人物であり、彼の計画に協力する。
『タクシードライバー』のテーマ曲とサックス音楽

「タクシードライバー」は、マーティン・スコセッシ監督の作品として、映像美や音楽、演出などが非常に重要な要素となっています。
『タクシードライバー』の音楽
作品のテーマに合わせて陰鬱で荒涼としたニューヨークの街並みが描かれており、トラヴィスの孤独や閉塞感、そして彼の精神的な変化が、映像を通して強く印象づけられます。
また、トラヴィスが夜の街を走り回るタクシーの運転シーンは、独特の映像美を持っており、彼の孤独と嫌悪感が表現されています。
その中でも『タクシードライバー』のテーマ曲が非常に人気があり、ニューヨークのシーンと非常にマッチしており、現在もタクシードライバーが名作と言われ続ける理由の一つと思われます。
バーナード・ハーマンの「Theme From Taxi Driver」
音楽については、バーナード・ハーマンが作曲した壮大で荘厳な音楽が印象的です。
特に、トラヴィスが計画を立てるシーンや、クライマックスのシーンでは、音楽が劇的な緊張感を演出しています。
演出については、カメラワークが巧みに使われており、特にトラヴィスの視点からの映像表現が印象的です。
例えば、彼が自分のイメージチェンジをするシーンでは、鏡を通しての映像が多用され、彼の内面の変化が表現されています。
映画『タクシードライバー』のラストシーン
この映画のエンディングは、トラヴィスの心理状態を象徴するようなシーンで締めくくられています。
トラヴィスが新しい人生をスタートするために、過去の自分を振り返らず、前に進むことを表現しています。
しかし、後部座席に座っていた乗客が描かれることで、トラヴィスが犯した罪について後悔し続けなければならないことを示唆しています。
『タクシードライバー』は、トラヴィスの孤独や社会問題を描いた名作映画であり、エンディングのシーンは、そのテーマを象徴するような重要なシーンです。
映画『タクシードライバー』の評価や影響
「タクシードライバー」は、公開当時から高い評価を得ており、現在でも多くの映画ファンや批評家から高く評価されています。
主人公のトラヴィスを演じたロバート・デ・ニーロの演技も称賛されており、彼の独特の存在感が作品全体を引き立てています。
影響については、映画界に大きな影響を与えた作品の一つとされています。
例えば、トラヴィスの内面を描いた視点や、社会批判の強いテーマが後続の映画作品や映画製作者に影響を与えたとされています。
『ジョーカー』と『タクシードライバー』の関係
映画『ジョーカー』は、『タクシードライバー』の影響を最も受けている作品の1つと思われます。
どちらの作品も、主人公は社会性がなく、孤独で世の中の不条理に嫌気がさしています。
『ジョーカー』のアーサーも『タクシードライバー』のトラヴィスも最後に行った”行動”がヒーローとして評価され、悪に堕ちるストーリーである。
また、『ジョーカー』では、アーサー憧れのコメディアンをロバートデニーロが演じるところなども、影響を受けていると思わせるシーンです。

結論
「タクシードライバー」は、1970年代のアメリカ社会を描き出した作品であり、主人公の孤独や暴力、社会の不条理に対する批判が描かれ、強い社会派的なメッセージを持っています。
作品の緻密な映像美や音楽、演出も高く評価されており、ロバート・デ・ニーロが演じたトラヴィスの存在感も作品を引き立てています。
また、映画界に多大な影響を与えた作品の一つであり、今も多くの映画ファンや批評家から高く評価されています。
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