2007年に劇場公開された『パンズ・ラビリンス』の予告編動画は、こちら
父親を内戦で亡くした孤独な少女は、森の中でラビリンスの入り口をみつけた!
不思議な迷宮に足を踏み入れると守護神パンが現われ、彼女に危険な3つの試練を与える。
『パンズ・ラビリンス』は、現実と迷宮の狭間で 3つの試練を乗り越える少女の成長を描くダーク・ファンタジー。
現実と幻想が絡み合うダーク・ファンタジー
おとぎ話が大好きな少女・オフェリアは、母カルメンと共に緑深い山奥にやってきた。
そこには山羊の頭と体をした牧神・パンがいて、彼女に驚くべき事実を告げた。
ようこそラビリンスの世界へ
オフェリアが迷い込んだ異世界は、全て彼女の空想なのか、それとも実在する世界なのか?
戦争という過酷な現実の中に生きる少女が、幻想が絡み合う魔法の世界に入っていく・・・。
『パンズ・ラビリンス』は、鬼才ギレルモ・デル・トロ監督が スペイン内戦の残忍さと純朴な少女の運命を並列させて描くダーク・ファンタジー。
儚くも美しい物語!
ファンタジーと辛い現実は紙一重! 心に傷を負った子どもたちが空想の世界に入り込むストーリーが多く見られますが、本作も辛い境遇にいる少女が過酷な現実から逃避するために、自分だけのファンタジーの世界に入り込むというおとぎ話がキーワードになっています。
グロテスクなクリチャーたち
手のひらより大きな昆虫、ヤギの化け物のような守護神パン、まったくかわいくない妖精、木の根に巣食う巨大な蛙など奇妙な生き物達の描写は、クリチャー好きのデル・トロ監督の得意分野で、強烈な個性を放ちつつもリアルな存在として描かれています。
特に、迷宮の番人で手のひらに目玉のある手の眼怪物「ペイルマン」は強烈なインパクトを放ち、老いるまで子供を喰い続けるというトラウマ級のクリチャー!
ペイルマンのモデルは、デル・トロ監督の大好きな日本の妖怪で、江戸時代の妖怪画集『画図百鬼夜行』に登場する手の目という妖怪で、両目が顔ではなく両手にあります。
“いないいないばあっ!”の両手を広げると手の真ん中にギョロ目が動き出す!気味ワル~
ギレルモ・デル・トロ監督の出世作
本作は、奇妙で鮮烈なイマジネーションを持ち合わせるメキシコ出身のギルレモ・デル・トロ監督の出世作であり、デル・トロファンの間では1番の人気作ともなっています。
『パンズ・ラビリンス』は欧州各国で絶賛され、第79回アカデミー賞では撮影賞・美術賞・メイクアップ賞と、”映像” に関する賞を3つも獲得しており、幻想的な世界を圧倒的な映像美で描きだしています。
デル・トロ監督は 人間と半魚人との恋を描いた異色作『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)で、遂にアカデミー作品賞を獲得し、名実ともに最高の映画監督として認められている。
映画『パンズ・ラビリンス』のあらすじ
迷宮の世界へ
時は、フランコ独裁政権下のスペイン。
スペインではフランコ政権による独裁と圧政が続き、それに反対し 政権を倒そうとするレジスタンスと政府軍との熾烈な戦いが行われていた。
内戦で父を亡くしたオフェリアは、母の再婚相手である政府軍のヴィダル大尉と、彼の軍が駐在する山の中の砦で暮らすことになった。
大尉は冷酷な性格で、母とオフェリアにも冷たい態度を示していた。
ある日、不思議な生き物・妖精?がオフェリアにまとわりつき、彼女は知らない世界に誘われ、自宅付近にある謎めいた古代の遺跡に足を踏み入れる。
すると、そこには迷宮の守護神パンがおり、オフィリアに彼女こそが魔法の王国のプリンセスであると告げ、彼女は姫として王国に帰るための三つの試練を受けることになる。
パンはその試練を、満月の夜までにクリアしろと言い残して 消えてしまう。
果たしてオフィリアは、与えられた三つの試練に 打ち勝つことができるのか…。
キャスト
イバナ・バケロ、マリベル・ベルドゥ、セルジ・ロペス、アリアドナ・ヒル、ダグ・ジョーンズ、アレックス・アングロ、ロジャー・カサメジャー、フレデリコ・ルピ、マヌエル・ソロなどが出演。
美しくも儚い異形の世界観
本作は、ほのぼのファンタジーかと思いきや、ちょっとグロイ描写も多く 残酷な現実世界も描かれ、その分 幻想世界の綺麗さが際立つ めっちゃダークなファンタジー!
少女は厳しい現実世界から、そのつらさを回避するために「迷宮の世界」に迷い込んだのです・・・その迷宮は ハラハラドキドキの異世界が描かれ、ラストでは切なく涙する。
戦争という残虐な行為と不毛の対立が、無垢な少女の心を苛み 地獄に追いやっていく。
作品情報
製作国:スペイン・メキシコ・アメリカ合作
監督:ギルレモ・デル・トロ
上映時間:119分
日本劇場公開日:2007年10月6日
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