「万引き家族」から考える社会問題【youtubeも紹介】

邦画

『万引き家族』・・・ 今の社会が生んだ一例にしか過ぎない

第71回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した映画『万引き家族』。

日本映画の同賞受賞は、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来21年ぶりの快挙です。
「万引き」という犯罪で生計を立てている一家を描いた本作には、批判も含めて多くの声が集まりました。

是枝裕和監督が本作で伝えたかった、本当のメッセージとは何なのでしょうか。
この記事では『万引き家族』をネタバレありで、感想を交えながら徹底解説&考察していきます。

家族の本当の関係や、劇中何度も出てきた「スイミー」が意味するもの、ラストシーンから読み取れる彼らのその後について考えてみませんか?
作品ごとに、新たな切り口から”家族のあり方”を撮り続ける是枝裕和監督作『万引き家族』。

犯罪でしか繋がれない一家を通して描かれる、本当の家族の形とは?

結末・ラストシーンのその後も含め、ネタバレありで徹底解説&考察していきます。

 

『万引き家族』は、是枝裕和監督の最新作であり、第71回カンヌ国際映画祭で日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した作品。

カンヌ映画祭の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットは、本作を「見えない人々(Invidsible People)」の物語であると表現しました。そんな本作を形作ったのは、見えない人々とは対照的な豪華俳優陣。

リリー・フランキーや樹木希林、安藤サクラや松岡茉優を始めとする、主演級の華やかな顔ぶれが揃っています。
しかし、彼らは演技合戦という表現が似合わないほど、自然な表情と言葉遣いで静かに社会の片隅で生きる人々を演じました。

池松壮亮や片山萌美、山田裕貴もわずかな出演時間ながら、主役の家族たちとはまた異なる「見えない人々」としての役目を果たしています。
彼らの名演技によって、映画『万引き家族』は多くの人の心に刺さる作品になったと言っても過言ではありません。

つまり、今はそういう社会であるから、実は『万引き家族』に出てくる擬似家族は絵空事ではなく、むしろ現実。

実際、万引きが横行していることは、様々なテレビのワイドショーなどでもさんざんネタにされてきた話だ。

社会的弱者をより弱者にさせてしまうような機能していないセーフティネットの現実、共同体や家族の崩壊、貧しくなったのは個人のせいだとされる自己責任論による弱者バッシングの高まりといった社会背景が、彼らのような家族を生み出す。

つまり『万引き家族』の家族は、今の社会が生んだ一例にしか過ぎない。

彼らの姿には誰にでも起こり得る現実がたくさん詰まっている。そう、『万引き家族』の面白さは、声高ではないけれど、そういう状況を生み出している今の社会にしっかり「NO」という意見を突きつけている所にもあるのだ。

終盤には、日本の映画界についても言及し、「是枝監督も以前から言われていることですが、日本映画は国内をターゲットした作品が多い。

それを全て否定するわけではないが、映画はいろんな意味で国境を越える文化。「日本映画なんて…」と思ってしまっている人も少なくないかもしれないが、オリジナル脚本で刺激的な作品を撮っている20代・30代の監督も多い。

今回『万引き家族』がパルムドールを取ったことがキッカケに日本映画界が改めて盛り上がっていって欲しい。」と語っている。

柳楽優弥の主演男優賞受賞が話題となった2004年の『誰も知らない』では、親に見放された子供たち。

2013年の『そして父になる』では、出生時の病院で子供を取り違えられ、血縁と過ごした時間との間で悩む2つの家族。2016年の『海よりもまだ深く』では離散した家族のその後の交流。
漫画原作の『海街diary』でも、親と一緒に生活することのできなかった姉妹たちが、腹違いの妹と家族になるという、今までの是枝作品に通じるストーリーがそのまま映像化されています。
このように是枝裕和監督はこれまで様々な家族を自分の作品の中で描いてきました。

家族とはなんだろうという問いかけとも思えるこれらの作品たちの延長線上に、本作『万引き家族』は位置しています。

映画のラストでは、亜紀が警察で全てを話し、りん(=北条じゅり)の未成年者誘拐、初枝の死体遺棄など一家が犯してきた罪状は信代がひとりで引き受けました。その後、信代は刑務所に入り、祥太は児童保護施設に入居し、治は一人暮らしを始めます。
治は信代の元へ面会に行っているようですし、今後も関係を続けていくのでしょう。

亜紀に関する描写はありませんが、実家へ戻ったか、一人暮らしの可能性も。

特に祥太は小学校で優秀な成績を残し、趣味にも精を出すなど最も新しい生活を謳歌しているようで、治たちとの日々に別れを告げるような表情さえ見せました。
一方、親元に戻ったりんは、母親からのネグレクトなど児童虐待が復活し、治と出会った時と同じ団地の外廊下で一人きりでした。

そしてラストは、台に乗って外を見ようとするりんの寂しげな表情を映し出し、『万引き家族』は幕を閉じるのです。
あえて最後で、血の繋がった家族と生活するりんの悲惨さを描いたところに、是枝監督からの問題提起があるのかもしれません。

血の否定ではなく、家族を家族たらしめるものとは?

それは絆でも、他の何かでもいいのではないかという、多様性の提案にも感じました。

「血縁とはうまくいかなかったけど、色んな人と縁を結んだ。」これは吉田秋生の『海街diary』で、とある登場人物の人生を振り返る時に登場する表現です。
人と人との縁は決して血縁だけではありません。家庭環境に恵まれなくても、友人や恋人、何かしらの同志と「絆」を結ぶことができます。

その血縁ではない「絆」を「家族」と呼んでもいいのでしょうか?

結婚や出産、養子といった形を取らなければいけないのでしょうか?
『万引き家族』の結末・ラストシーンは、是枝監督から私たちに向けられた「家族」に関する問題提起だったように思います。あなたにとっての「家族」とは何ですか?

家族に必要なのは血か絆かーー。

いろいろな家族を撮り続けてきた是枝裕和監督が、「犯罪でしかつながれない家族」を描いた最新作『万引き家族』が6月8日に公開されます。

今回、監督に直接インタビューを決行。本作の見どころや、監督の思う家族観について直撃しました。

この『万引き家族』についてコトブキは「すべての作品というわけではないが、是枝監督の作風を語る上で重要なキーワードと言えば“家族”の描き方。」、「今作の舞台は東京の下町。タイトルどおり、生きていくために万引きを重ねている家族の物語だが、もちろんそれだけじゃない。どこまで話すべきか難しいところですが、普通の家族とは言えない家族の関係性が是枝監督ならではの視点で描かれている。」と解説した。

 

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