映画「Fukushima 50」の内容・解説【実話】

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Fukushima50
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2020年3月に劇場公開された「Fukushima 50」の予告編動画は、こちら

東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故発生時に発電所に留まり、命懸けで作業した約50名通称「フクシマ50」のリアルを描く物語。

監督は若松節朗。

登場人物

主要人物は以下の通り。

伊崎利夫(佐藤浩市)・・・福島第一原発 1・2号機当直長。
吉田昌郎(渡辺謙)・・・福島第一原発 所長。
前田拓実(吉岡秀隆)・・・福島第一原発 5・6号機当直長。
野尻庄一(緒形直人)・・・福島第一原発 発電班長。
大森久夫(火野正平)・・・福島第一原発 管理グループ当直長。
平山茂(平田満)・・・福島第一原発 第2班当直長。
井川和夫(萩原聖人)・・・福島第一原発 第2班当直副長。
内閣総理大臣(佐野史郎)・・・首相官邸内の危機管理センターにて陣頭指揮を執り、突如自ら福島第一原発へ向かう。

専門用語の解説

メルトダウンとは?

原子炉の事故などで聞くことのある「メルトダウン」とは、核燃料が高音になり溶け出し、炉心(ろうしん)と呼ばれるエネルギーを発生させる部分が溶けてしまう事を言います。

この状態が進むと核燃料が原子炉の施設から漏れてしまい放射能汚染となる危険な状態になってしまいます。

福島の原発では、当初はメルトダウンしていないと言われていましたが、5年後に撤回されて、実際に起きていた事を認めています。

ベントとは?

現場レベルでの対応方法としては、作業員が原子炉内に直接突入し行う手作業による圧抜きを行う事が唯一の手段であった。この手動による圧抜きをベントと呼ぶ。

あらすじ・ストーリー

2011年3月11日午後2時46分、最大震度7 という日本の観測史上最大の地震が発生しました。
巨大津波が福島第一原子力発電所を襲い、津波による浸水で全電源を喪失。
SBO(ブラックアウト)となり、冷却不能になった原子炉。
何もしなければ最悪のシナリオは被害範囲半径250KM、避難対象人口は約5000万人になります。
想像を絶する被害者が出てしまう状態になります。
全体指揮を統括する吉田所長(渡辺謙)は、伊崎たち部下に労いの言葉をかける一方で、状況を把握しきれてない本店や首相官邸に怒り心頭。
現場作業員・伊崎(佐藤浩市) たちは原子炉制御をしようと奔走しますが、制御出来ず事態は悪化するばかりです。

もはや現場では、唯一の手段はベント(手動による圧抜き)しかありません。

世界で実施されたことのないこの手段で、作業員が高い濃度の放射能が充満する原子炉に突入するしかありませんでした。
この危険な作業を指示したのは本店で口で言うのは簡単ですが、実際作業する作業員は命懸けです。
吉田所長も本店に激怒しながら他に方法がないので、ベントの指示を出すしかありませんでした。
外部と遮断され何の情報もない中、「若い人は未来があるから」と中年作業員数名が「自分が原子炉に行く」と名乗りをあげました。
それを見た他の作業員は「自分も行きます」と次々を名乗りを上げますが、伊崎はベテラン作業員を数名選びました。
まさに決死隊です。決死隊は生きてかえってこれたのでしょうか?
ベントは無事、出来たのでしょうか?

感想

本作を観るには勇気や覚悟が必要でした。とても気軽な気持ちでなど観れません。
なぜなら私は福島県在住の被災者だからです。

地震の直後は絶望しかなく、「日本は終わったんだ」と思っていたのを覚えています。
観ながら当時のことを思い出し苦しい思いもしましたが、観るべき映画だと思いました。
今までニュースで命に関わるような地震を観ても正直、他人事のように感じていました。
東日本大震災で被災してから、とても他人事とは思えなくなりました。
本作を観て自分たちが避難していた時、原発の現場の人達や状況が知れてとても感謝しました。
命懸けで私達を助けてくれたんだと思いました。
命に関わる状況で一刻を争う状況になると、上司だとしても丁寧な言葉なんて使ってられなくなるのでしょう。
本店と現場との感情的な言葉のやり取りなどもリアルに再現されており、視聴している私も感情的になりました。
豪華俳優陣の迫真の演技力も凄く、気持ちを揺さぶられます。
被災した方ですと当時を思い出して苦しくなるかもしれません。
ですが原発で何が起きて、原発の人達がどのような思い・行動したのか知って欲しいと思いました。
私は家族や友人に本作を観るように勧めました。
被災されてない方も以前の私のように他人事と思わず是非、見て欲しい映画です。

批判・酷評の声も

誰もが見ておくべき事実を描いた素晴らしい作品ではあるが、一方で東電が「津波」の対策を先延ばしにしていた事により悲惨な状況にしてしまっている。実際の津波の規模は「想像を超える津波」ではなく、通常の「津波対策」をしていれば避けられる程度の津波だったとも言われている。

作品が現場で死に物狂いで行動した事で美談になってしまっており、先延ばしせずに行うべき対策を行わなかった東京電力の問題を取り上げるべきとの意見もある。

映画「Fukushima50」のレビューを調べてみた

1F事故をネタにした異世界ファンタジー小説「Fukushima50」の作者です。しょっちゅう名誉毀損で訴えられては敗訴しています。でもファンタジー世界の住人なので支払う気は無いようです。

Fukushima50 もう忘れかけてたけど あの場所でも 壮絶な戦いがあった いろんな思いが こみあげてくるけど まずは 感謝

左傾化する司法とやらを屏風から出してほしい。 21世紀になってから刑事裁判は厳罰化の流れだし、民事では原発事故で政府(経産省)の責任は認めない判決がほとんどなど、権力に甘い。あ、Fukushima50の原作者には不都合な事実ですかね

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 安全な場所から誰かを非難することは容易い。現場の人間は、何を言われようと、うまくいくかどうかわからなくても、必死でやり抜くしかなかったのだと、映画を見てよくわかりました。命の危機を伴う大変な状況のなかで、次々と決断を下していく吉田所長、作業員の皆さんの責任感にも頭が下がります。ラストの満開の桜の下で吉田所長の手紙を読むシーンが、あまりに美しくて、泣けました。

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